「意図的に?」
「香西永太くんの存在を知らしめるように、です」
「おかしいですよ、御堂刑事。それじゃ、俺が振り込め詐欺の主犯みたいじゃないですか」
雪緒の茶化したような問いに、誉は静かな口調で答えた。
「私はそう見ています。正確には主犯のひとりであると」
唇を静かに閉じ、雪緒が黙った。愛らしい大きな瞳はすうっと光を失い、暗い海のような洞のような色味をしている。その目がじっと誉を見つめていた。
「きみは、香西永太くんと共謀して、振り込め詐欺を主導していましたね。始めたのは、きみたちが中学三年生の終わり。名門校受験を控えてものすごい行動力です。初期資金と場所提供は香西くん、技術面のフォローアップは幸井くん」
「アポに使った固定電話番号も、被害者の電話番号も、業者から買い取ったんだね。SNSでの人材集めや振り込み用口座の準備などは、裏サイト経由でなんでも屋を探してやらせた。ひとつひとつ業者を変えているから、請け負った業者も詳細を知らない。雪緒くんが取りまとめていたんだろう?」
雪緒は愛らしい顔を嘲笑めいた表情に歪めた。
「全然心当たりがないなあ。それって永太がひとりでもできたことじゃないですか?」
「永太くんができたのは資金面だけだろうね。彼のスマホとパソコンは一課がすでに調べているけれど、業者とのやりとりは見つかっていない。実行犯の少年たちに指示を出していたSNSアカウントが永太くんのものだとわかったくらいだよ」
巧が穏やかに答える。
「香西永太くんの存在を知らしめるように、です」
「おかしいですよ、御堂刑事。それじゃ、俺が振り込め詐欺の主犯みたいじゃないですか」
雪緒の茶化したような問いに、誉は静かな口調で答えた。
「私はそう見ています。正確には主犯のひとりであると」
唇を静かに閉じ、雪緒が黙った。愛らしい大きな瞳はすうっと光を失い、暗い海のような洞のような色味をしている。その目がじっと誉を見つめていた。
「きみは、香西永太くんと共謀して、振り込め詐欺を主導していましたね。始めたのは、きみたちが中学三年生の終わり。名門校受験を控えてものすごい行動力です。初期資金と場所提供は香西くん、技術面のフォローアップは幸井くん」
「アポに使った固定電話番号も、被害者の電話番号も、業者から買い取ったんだね。SNSでの人材集めや振り込み用口座の準備などは、裏サイト経由でなんでも屋を探してやらせた。ひとつひとつ業者を変えているから、請け負った業者も詳細を知らない。雪緒くんが取りまとめていたんだろう?」
雪緒は愛らしい顔を嘲笑めいた表情に歪めた。
「全然心当たりがないなあ。それって永太がひとりでもできたことじゃないですか?」
「永太くんができたのは資金面だけだろうね。彼のスマホとパソコンは一課がすでに調べているけれど、業者とのやりとりは見つかっていない。実行犯の少年たちに指示を出していたSNSアカウントが永太くんのものだとわかったくらいだよ」
巧が穏やかに答える。