「幸井くんはずっと香西くんと同じ学校だったんですか?」
「はい、小学校はふたりとも公立で、中学は六本木の私立・常葉(じょうよう)中、そこからふたりとも帝旺学院です」
「仲がよかったんだね」

巧の言葉に、雪緒は自嘲するように微笑んだ。

「俺はずっとそう思ってました。高校もふたりで決めたので。でも、永太は途中から違ってたのかな」
「最近はお互いの家を行き来するような関係ではなくなっていた?」
「そうですね。学校で会うくらいでした。永太は学校外で俺の知らないヤツらとつるんでたし、そのせいで……こんなことに」

苦しそうに眉根を寄せる姿に、巧は声をかける。

「ここまで大事に想ってくれてる雪緒くんの存在に気づけていれば、香西くんは危ない連中と関わらないで済んだのかもしれないね」
「俺、悔しいです……」

うつむき、拳を握る雪緒。誉が静かに口を開く。

「そう、これは極秘情報だからきみも漏らさないでほしいのですが、香西くんの死に、Crackzのみならず麻布の暴力団組織が絡んでいる可能性が出てきました」
「え? 暴力団が?」

雪緒が驚愕したように言い、顔色が悪くなる。
情報を出し過ぎなのは昨日同様だが、巧は黙っていた。誉には考えがあるようだ。

「なにか心当たりはありますか?」
「いえ……その」