外で井草と合流し、用意していた車で鳥居坂署に戻る。

「御堂係長、今日はまた盛りに盛られましたね~」

井草が助手席で苦笑いしている。運転席の巧はミラーで後部座席の誉を垣間見た。
髪の毛は現役キャバクラ嬢のように華やかなアップヘア。ミニ丈のブルーのドレスを着て、先日の古嶋の妹に施してもらった倍くらいはっきりメイクされている。メガネもない。視力はあるようだから、コンタクトだろうか。

「今日は専属のメイクがついていた。正直、顔がぱりぱりして痛い。ファンデーションが油脂を吸い尽くしている気がする。こちらはアラサーなのだから、肌の油分が少ないことを弁えてほしいものだ」
「いやいや、アラサーには見えませんよ。十代の女の子みたい」
「井草巡査部長、それは褒めているのか。嘲笑しているのか」

何事もなかったかのように井草に応対する誉に、巧は胸がざわざわしたままだ。

「ジャケット、ちゃんと羽織っててください。冷房で冷えますから」

つい、声が怒ったようになってしまう。

「うるさいぞ。年より扱いするな。アラサーとは言ったが、冷え性ではない」
「ドレスから肩も脚も出てるから階は心配してるんですって」

井草が珍しくとりなす言葉を口にし、古嶋も自身のカーディガンを脱いで誉の膝にかける。