『でもあいつ、Crackzの一員になりたいから頑張るって言ってたんだぞ』
『元々金持ちのクソ生意気なボンボンだからな。ゆくゆくは俺たちをすっ飛ばして直で昇鯉会とやりとりしたかったんじゃねえの?』
『で、チョーシこいてジジイどもにぶっ殺されたってか?』

そこで笑い声が溢れた。安堵と嘲笑だ。

『じゃあ、俺たちはあのガキの死には関係ねえっつうことで』
『ホントに誰も殺ってねえよな? 今更言うなよ?』

そこでまた笑い声。お愛想なのか、女たちの笑い声も聞こえる。

『振り込め詐欺の件どーする? サツは絶対、俺らんトコくるぜ』
『知らねーって言う。あのボンボンが勝手にしたことだ。俺らは頼んでねえし。便宜も図ってねえ。事実、売り込みかけてきたのはボンボンの方だしな。俺たちは、仲良くしたいなら金持っておいでって言っただけじゃん』

楽しそうな声に、巧は怒りを覚えた。多くの善良な人から金を巻き上げさせておいて、連中は自分たちが教唆したことを認めないだろう。そして人がひとり死んでいるのに、自分たちに火の粉がかからなければなんでもいいと思っている。

『もう、これで終わりな。この話』
『来てないヤツラにも口裏合わせるよう言っといて』

女子の明るい声が上がり、場は一転騒がしくなった。ここからは幹部会と言っても仲間内で酒を飲む会のようだ。そのために女子が集められている。