三人は高校の裏側に回った。学生たちが使う駅から学校までのルートを避け、住宅地に入った。柵で区切られたわずかな緑地にたどり着く。

「香西永太くんのことは、どこで」
「昨日、登校するまで知りませんでした。公園のところに野次馬ができてて、クラスの男子がいて、永太が死んだって」

少年の顔が泣き出しそうにゆがむ。親友を亡くしてまだ一日。痛みも悲しみも生々しいに違いない。眉を寄せたまま雪緒が顔をあげた。

「あの、御堂さんたちは、永太の死を調べているんですか?」
「残念ながら、殺人事件は本庁の捜査一課が捜査するんだ。俺たちは別件で動いてるんだよ」

巧が引き取って言い、誉が付け足す。

「犯罪抑止係は振り込め詐欺の真相を調べています」

雪緒の頬がぴくりと動いた。それを見逃さず巧は尋ねる。

「あのさ、雪緒くん。香西永太くんが南麻布のマンションでなにをしていたか本当は知っていたんじゃないのかな」

雪緒ははっとした表情になり、それから視線をそらしてしばし黙った。やがて観念したような細い声が聞こえた。

「永太は……オレオレ詐欺みたいなことを……やっていたんじゃないかって、思ってました」

これ以上友人を庇い立てることはできないと思ったのだろう。雪緒は言いづらそうに答えた。巧より少し後ろに立った誉が唇を開く。

「きみはあの時、香西くんのことを打ち明けようか悩んでいたんですね」
「ごめんなさい。俺も確証が持てなかったし……永太を悪者にしたくなくて……」