「犯人に金を要求され、香西永太は自前のサバイバルナイフを出して抵抗した。それを奪われ、殺され、金を奪われた。……こんな感じですか?」
「一課の想定シナリオはそんなところだろう」
「御堂さんはどう考えてるんですか?」
使い終えたボウルを流しに置いて、巧は振り返った。
「なに、あとは一課の仕事さ」
誉は興味なさそうに言い、スマホを充電器に繋ぎ、ムサシをケージに戻す。ムサシにとって夜は寝る時間だそうだ。
巧は不満を感じていた。
誉の言葉は、ちゃんとした答えになっていない。
やはり、誉はこの件から手を引く気だろうか。情報を提供するだけで終わるつもりだろうか。それは少々やりきれない。
(せっかく、ここまで犯抑で追ってきたのに)
巧にとっては初めての経験だった。それが、正規の捜査ではないとしても、自分たちで調べあげ、考えてきた実感がある。それをそのまま一課に横流しして終わりとは呆気なさ過ぎる幕切れだ。もちろん、現実問題で巧と誉だけで捜査を継続するのは無理だろう。殺人が起こった以上は一課に任せるのが筋であり、犯罪抑止係は元の仕事に戻るべきだ。
御堂誉はそれでいいと思っているのだろうか。すでに一課ではない自分には捜査できないと思っているのだろうか。
「一課の想定シナリオはそんなところだろう」
「御堂さんはどう考えてるんですか?」
使い終えたボウルを流しに置いて、巧は振り返った。
「なに、あとは一課の仕事さ」
誉は興味なさそうに言い、スマホを充電器に繋ぎ、ムサシをケージに戻す。ムサシにとって夜は寝る時間だそうだ。
巧は不満を感じていた。
誉の言葉は、ちゃんとした答えになっていない。
やはり、誉はこの件から手を引く気だろうか。情報を提供するだけで終わるつもりだろうか。それは少々やりきれない。
(せっかく、ここまで犯抑で追ってきたのに)
巧にとっては初めての経験だった。それが、正規の捜査ではないとしても、自分たちで調べあげ、考えてきた実感がある。それをそのまま一課に横流しして終わりとは呆気なさ過ぎる幕切れだ。もちろん、現実問題で巧と誉だけで捜査を継続するのは無理だろう。殺人が起こった以上は一課に任せるのが筋であり、犯罪抑止係は元の仕事に戻るべきだ。
御堂誉はそれでいいと思っているのだろうか。すでに一課ではない自分には捜査できないと思っているのだろうか。