学校の正門前に着いたとき、周りがザワザワとし始めた。
なんだろ。
『見て!姫があそこにいる!』
『あっ、ほんとだ!…わ〜、今日も可愛い!』
近くにいる2人組の女子が小さな声で、まるでアイドルに会ったようなトーンで話している。
その女子たちの視線が向いてる方向を見ると、背の高い爽やか系男子の隣にちまっとして歩いている男子がいた。
朝比奈くんってあの子…だよね?
んで、朝比奈くんの隣にいる爽やか系男子は…久賀(クガ)くん…だっけ?校内ナンバーワンの人気を誇る。
そういうのにはもっぱら疎い私でも、ほぼ毎日学校中の女子が、何かあるたびに『久賀くん』『久賀くん』と噂しているので覚えてしまった。
なるほど。
たしかに久賀くんはとても整った顔をしている。
綺麗な白い肌に色素の薄いさらさらの髪。
鼻筋はすーって通ってて涼し気な目元。
…こりゃモテるわけだ。
対象に、と久賀くんに向けていた目を朝比奈くんに向ける。
朝比奈くんは少し低めの身長でサラツヤ黒髪。
肌も透き通るぐらい白くて黒目がちなくりっとした瞳。
はっきり言って、男の子とは思えないぐらいの可愛さだ。
2人が完全に正門を通って、私のいる位置からは見えなくなってしまったので、「朝から目の保養ができたわ〜」ってほのぼのしながら2人のロスに溺れている女子の集団の中に入って教室に向かった。