転校初日が終わった。
 リアンはマドルス家で家庭教師の授業を受けていたおかげか、前の学校よりも明らかにレベルの高そうな授業にもついていけた。そして帰りの車の中、リアンはジュリエと楽しげに会話をしている。
 ジュリエはリアンが早く打ち解けるようにか、クラスメイトの一人一人の特技などを説明している。
 マニルという少年はバク宙が得意らしい。テストで好成績をとる度、その場でバク宙をして、毎度ミシェラに怒られると、ジュリエは楽しそうに話した。
 そんな話をしているうちに、家に着いてしまった。
 家に着いた二人は、それぞれの部屋に入って行く。そして、着替えを終えたリアンがソファーに座り寛いでいると、部屋のドアがノックされた。

「はい」

 立ち上がりリアンがドアを開けると、そこにはジュリエが立っていた。

「リアン!ピアノレッスンやるから一緒にやろう!」

 ジュリエはドアの前で可愛らしく手を振り、嬉しそうにリアンを誘っている。

「うん!」

 リアンも嬉しそうに返事をすると、ジュリエの後を付いて行き、とある部屋に入った。
 その部屋には素人目にも値が貼りそうだと分かる、立派なピアノが置かれている。
 そのピアノの前に、ジェニファが笑顔で立っていた。