休み時間になると、リアンの元にクラスメイト達が集まってきた。

「なぁ、マドルス.ソーヤって、あのピアニストのか?」

 授業前に、シャルラに同じ質問をしていた、コルムと名乗った生徒が尋ねてきた。

「…おじいちゃんはピアノ弾けるよ」

「ピアノ弾けるだけじゃ、あのマドルスだって決まったわけじゃないわね」

 そう言ったのは、眼鏡を掛けたサラという少女だ。

「お父様の名前は?」

 サラは眼鏡をくいっと上げながら、真剣な眼差しをリアンに送った。

「…フェルドだよ」

「…やっぱり!あのマドルスじゃないか!」

 ちょっとポッチャリしているジリアという少年は、何故だか喜んでいる。

「すげえな!あの大豪邸に住んでるのか!?」

 コルムは興奮しているのか、鼻の穴を大きく開いて、目を輝かせている。

「僕も昨日来たばかりでよく分からないけど、すっごいでっかいお家だったよ」

「凄いよな!俺、ヤルクスよろしくな」

「私はアルネ」

 色んな生徒が自己紹介してきた。
 クラスメイトは全部で三十人程いる。こんなに多くのクラスメイトとができるのは初めてだったリアンは、嬉しくなった。

「よろしくね」

 その証拠にリアンは笑顔を浮かべている。

「もう、そろそろ行かなきゃ」

 アルネの言葉を聞き、皆は次の授業に向け、動き出した。