言い終わると、ジャンは唇を噛み締めた。そうしなければ、涙が溢れ出てきてしまうのだろう。
 先程までのジャンの元気は、演技だったようだ。

「…おじいちゃん?」

 リアンは一瞬、頭が真っ白になった。

「…フェルドの息子のリアンだね」

 老人はわなわなと震える手で、リアンを抱き寄せた。

「…おじいちゃん?」

 リアンは抱かれながら、呟いた。

「…すまなかった…すまなかった」

 老人は泣きながら、何度も謝った。

「…わしの名はマドルス・ソーヤ…お前のじいちゃんだ」

 マドルスは抱き寄せていた両手を、リアンの肩に載せると、涙を流しながら微笑んだ。

「………」

 リアンは、どこかフェルドに似ているマドルスの顔を見て、涙が滲み出てきた。

「…リアン…今日からおじいちゃんと暮らせ」

 涙を堪えているのだろう。そう言ったジャンの拳は、強く握られている。

「…えっ!?」

「…俺の足折れちゃったしな…当分店も休まなきゃ駄目だしな」