「…大丈夫?」

 リアンは優しくジャンの肩に手を掛けた。

「…大丈夫、大丈夫」

 ジャンは立ち上がろうとした。

「痛っ!」

 しかし、どうやら腰を痛めてしまったようだ。
 ジャンはリアンの肩を借りて、酒場の中に入った。

「ちょっと、待ってて」

 リアンはそう言うと、湿布薬を持ってきて、ジャンの腰に貼り付けた。

「…病院行く?」

 今日は日曜日、病院も休みだろう。
 リアンの問い掛けに、ジャンはその事を頭に浮かべ答えた。

「…大丈夫…寝てれば夜には動けるさ」

「…本当?」

「あぁ…痛ててて」

 胸を張って言ったジャンは、また腰を痛めたようだ。

「…それより参ったな…今日酒を仕入れに行く日だったんだけどな」

 ジャンは独り言のように呟いた。

「僕、行ってこようか?」

「…車がないと遠いぞ……でもな、あの酒がないとな…頼んでいいか?」

 ジャンは、申し訳なさそうな表情をしている。