「…嘘じゃないよ…ごめん…ずっと言えなくて」

 ドニーの目からは、長袖では拭えない程の涙が流れている。

「………」

 リアンも涙が止まらなかった。

「…だから…今日で秘密基地とも、さよならだね」

 ドニーは、涙を隠すように俯きながら言った。

「…うん」

 それからリアンとドニーは、しばらく無言になった。そうしているうちに、二人は学校に着いた。
 誰もいない教室のドアを開け、お互い視線を逸らしたまま、各々の席へと座る。
 ライアが来るまでの間、どちらも口を開こうとはせず、視線も合わさなかった。受け入れたくない現実に、お互い掛ける言葉がないのだろう。
 重苦しい空気が流れる中、教室のドアが開いた。入ってきたのは、ライアだ。

「…起立、きおつけ、おはようございます」

 日直のドニーは号令を掛けた。しかし、いつもより元気がない。それに気付いたライアは、非難するような視線をドニーに浴びせる。

「着席」

 ドニーは溜息混じりにそう言うと、力無く椅子に座った。