ジャンの話によると、この瓶は十二年程前に、つまりリアンが生まれた頃にジャンが作った物で、この青い色を出すのに、大変に苦労したのだそうだ。
 そして凝りだすととことん凝るタイプのジャンは、ガラスの原料の石を取りに入った山で、一針も縫う大怪我?をしたのだそうだ。
 それから、その山の帰りに乗った列車で、ビリー何とかという俳優の隣の席に座り、世間話をしたと自慢をした。
 この瓶は物置きの掃除をしている時に、たまたま見付けた。そして、店に飾る為に持ってきたのだそうだ。
 リアンはジャンに、こんな才能があった事に驚いた。
 普段は大雑把で、プロレスラーみたいにガタイのいいジャンに、こんな繊細な物を作る才能があったとは正直驚きである。
 それ程にこの瓶の出来は素晴らしいのだ。
 ジャンはひと通り話し終えると、満足そうな顔をして煙草に火を付けた。
 リアンはジャンの煙草を吸う姿を見て、今は亡き父親の事を思い出した。