後ろ髪を引かれる思いがあったものの、リアンも後を追い、恒例の駆け足競争で帰って行った。

「ただいま」

 リアンは酒場の入口を開けると、テーブルの前に座っていたジャンに向かい挨拶をした。

「おう!おかえり!」

 ジャンは笑顔でリアンを出迎えた。
 なにやら店の中には食欲をそそる匂いが広がっている。しかし、店の中には料理らしき物は見当たらない。どうやら住まいである、二階から漂っているようだ。

「もしかして、今日はごちそう?」

 リアンは嬉しそうに笑顔を浮かべた。

「当たり前だろ!たまの休みの日は、恒例のごちそうパーティーだ!」

 ジャンは両手を開き、ポーズを決めながら、にんまりと笑った。

「まだ作ってるから手伝ってくれるか?」

「うん!」

 二人は二階に上がり、料理を一緒に作り始めた。
 酒場が休みの日には、決まって料理を手伝うリアンは、馴れた手付きでジャガイモを剥き始める。