「家族と住んでるよ」

「家族?」

 ジュリエは驚いている様子だ。

「うん。僕を養子として迎えてくれた父さんと、ジョルノとビスコとスワリ、それにショルスキの六人で暮らしてるんだ」

「いっぱい家族が居るんだね…お父さんは優しいの?」

 そう尋ねたジュリエは、不安そうな表情をしている。

「凄く優しいよ。父さんだけじゃなくて、皆も凄く優しいんだ」

「よかった」

 ほっと息を付いたジュリエは、その言葉通り安堵している。

「…リアンは今でもずっと、ピアノを弾いててくれたんだね」

 未だ握り締めたままのリアンの手を見詰め、ジュリエは凄く嬉しそうに言った。

「うん、毎日弾いてるよ。ジュリエも毎日、弾いているみたいだね」

 ピアノを愛している二人だからこそ、指を見れば、毎日ピアノに触れているかどうかが、分かるようだ。
 話したい事はいっぱいある。しかし、二人には時間がなかった。

「…後十五分ぐらいで、集合時間だね」

 壁に掛けられている時計に視線を送ったリアンは、淋しそうに言った。