「ごちそうさまでした」

 あんなに綺麗に盛り付けられていたのが遠い昔のように、二人の皿の上は食べ終わったソース以外は何も残ってはいない。

「じゃあ、学校行ってくるね」

 もう一度口をナフキンで拭うと、リアンは席を立ち、鞄を取りに自室へと戻って行く。そして鞄を持つと、玄関へと続く長い廊下の上を歩いた。

「リアン、もう行くのか?」

 朝からトンカチを手に、廊下の壁の修繕をしていたジョルノは、近付いてきたリアンに右手を挙げた。

「おはよう、ジョルノ。もう、学校に行く時間だよ」

 リアンは爽やかに右手を挙げ返した。

「…本当だ。時間が経つのは早いもんだな」

 一時間前から作業を始めていたジョルノは、額に滲んだ汗を首に掛けているタオルで拭った。
 ジョルノという男は集中して物事を行うと、時間を忘れる癖があるのだ。

「ジョルノは、もう朝ご飯食べたの?」

 時間にゆとりを持って通学しているリアンは、ジョルノとの会話を始める。

「食べた食べた!今日もビスコの飯は美味かったな!」

 食べた料理を思い出しているのだろう、ジョルノは溢れてきた涎を啜った。