「おや、ジョルノはどうしたんじゃ?」

 続いて入ってくる気配のないドアに視線を向けた教授は、席に着いたビスコに尋ねた。

「ドラム缶でお湯を沸かしてるぞ。先に食べてていいそうだ」

「そうか、随分熱心じゃな…そのうち来るだろう。よし、みんな先に食べてよう」

 いただきますをしたリアンは、ビスコが皿によそった熱々のスープをおかずに、パンにかぶり付いた。

「今日のスープはいつにも増して美味いな」

 普段は全く喋らないスワリが、珍しく口を開いた。

「スワリが喋るなんて珍しいな」

「そうか?俺なんかよりショルスキの方が喋らないだろう」

 そう言われたショルスキは、ぼさぼさの髪をぽりぽりと人差し指で掻き、恥ずかしそうにしている。

「そうだな、ショルスキの声は久しく聞いてないな」

 ビスコは未だ恥ずかしがるショルスキに視線を送り、口角を上げた。
 ひび割れた分厚い眼鏡を掛けている為、分かり難いが、ビスコの目は穏やかに笑っている。

「今日はいつにも増してスープが美味いし、スワリの声も聞けて、何だか特別な日じゃな」

 教授は嬉しそうにそう言うと、「ふぉふぉふぉ」と声に出して笑った。