「…うん」

 おたまの中には、湯気立つお湯が入っている。
 ジョルノはおたまに掬ったお湯の中に、人差し指を沈めた。

「…もうちょいかな?」

 望む温度には足りていないようだ。
 ジョルノは壁にもたらせた木の棒を手に取り、ドラム缶の中をかき混ぜた。

「ジョルノ、飯出来たぞ」

 ビスコは鍋を持ち上げると、近くでドラム缶のお湯を掻き混ぜ続けるジョルノに声を掛けた。

「先に食べててくれ、今、手が放せないんだ」

 ジョルノは掻き混ぜる手を休めずに、笑顔で答えた。

「了解、先に食べてるぞ」

 ビスコも笑顔で答えると、小屋に向け歩き出した。

「おーい、開けてくれ」

 ドアの前で立ち止まったビスコは、両手に鍋を持ったままドアに向かい声を掛ける。

「はーい」

 ドアを開けたのは、リアンだった。

「出来たぞー」

 湯気立つ鍋を掲げながら、ビスコは開かれたドアから、小屋の中へと入って行く。