「なんだ知らなかったのか?教授の正体」

「…え?…はい、知らないです」

 教授が只者ではない事は、そのピアノ演奏を聴けば、誰でもそう思うだろう。しかし、その正体をリアンは知らされてはいない。

「そうか…ホームレスなのに、毎日俺達に飯を買ってきてくれるだろ?不思議に思わなかったのか?」

「…不思議に思い教授に聞きました。…金持ちのホームレスだって言ってましたけど」

「そうか、聞いたのか…じゃあ教えてやるよ教授の正体」

 ジョルノは笑顔を作った。

「教授の名前は、ジョルジョバ.フィレンチ。リアンはその名前を聞いたことないか?」

「…ジョルジョバ?…聞いた事あります」

 リアンはその名を知っていた。酒場の常連客の口から、幾度もその名と共に、その名声を聞いていたのだ。

「…リアンの年頃でも知ってるんだな」

 ジョルノはそう言うと、遠い目をした。

「教授は昔、世界的に有名なピアニストだったんだよ。わしらの年頃だったら、誰でも知ってるぐらい有名なんだ」

「…教授がジョルジョバ」

 突然知らされた事実に、リアンは教授の名前を口にした。