「…素晴らしい」

 教授は、素直な気持ちを口にする。

「今のアレンジは、わざとやってたのかい?」

「いえ、わざとというか…そうした方が僕には合ってると…駄目でしたか?」

 リアンは答えた後、自信なさげに尋ねた。

「駄目なんかじゃない。むしろ良くなっていたよ。わしはお手本だから、忠実に弾いたんだが、わしも普段はアレンジを加えて弾いとるんだ」

「え?教授も」

 あんなに素晴らしいピアノを奏でる教授も、同じようにアレンジして弾いている事を知り、リアンは嬉しくてしょうがなかった。

「リアンはコンクールに出たことはあるかい?」

「…コンクール?ないです」

「…そうか」

 そう言うと教授は腕組みをし、何か考えているような仕草を見せた。そして腕組みを解くと、にっこり微笑み口を開いた。

「リアンのピアノは、世界の人に聴かせなくちゃならないピアノだ」

 それは決して煽てている訳ではない。教授は本気でそう思って、言っているのだ。

「え?僕のピアノが?」