「はい」

 リアンは立ち上がると、急いでドアへと駆け寄る。

「おはよう」

 そう言って教授は、ドアから笑顔を覗かせた。
 その手には、紙袋が握られている。

「おはようございます」

「朝飯、持ってきたぞ」

 教授は紙袋を顔の前に掲げ、にっこりと微笑んだ。

「ありがとうございます」

 リアンは、深々と頭を下げた。

「そんな堅苦しい礼なんかせんでいい。これから毎日、持ってくるんだからな。わしが恐縮してしまう。もっとフランクに、ちーす!ぐらいでいいんだぞ」

 和まそうとしているのだろう、教授は自分なりにユーモアを交えて言った。

「ぷっ!分かりました。ありがとうございます」

 教授の優しさが伝わったリアンは、思わず吹き出した後、笑顔でお礼を言った。

「うむ、よし食べよう」

 二人してテーブルの前に座ると、教授は紙袋からパンと牛乳を取り出し、テーブルの上に置いた。

「さあ、食べよう。いただきます」

「いただきます」

 二人は両手を合わせた後、パンにかぶり付いた。