「教授!リアンもピアノ上手いんだぜ!」

 ジョルノは、ピアノを指差し言った。

「ほう、そうか。リアン何か聴かせてくれんか?」

「…はい」

 リアンはコップと皿を座っていた椅子の上に置き、ピアノの前に座った。
 何を弾こう。そんな考えは頭には浮かばない。
 指先が鍵盤に触れれば、指先が勝手に踊り出す。それはいつもの事だ。そしてそれは、瞬時に美しいメロディーを作り出した。

「…ほう」

 教授はリアンのピアノの音に耳を傾け、静かに目を閉じた。
 リアンは何も考えずに、指に任せてピアノを弾いた。賑やかだった小屋の中は、リアンの美しいピアノの音だけが響き渡る。
 そして、演奏が終わった。
 皆が拍手を送る中、リアンが元の席に戻ってきた。

「…上手いな」

 教授はにっこりと微笑むと、リアンに向かい、親指をぐぃっと立てた。
 リアンは小鼻を掻くと、照れ臭そうにジュースを口に含んだ。

「次、教授のピアノ聴かせてくれよ!」

 ジョルノは急かすように、手を上下させている。

「わしか?いいぞ」