茶が沸くまでの間、手持ち無沙汰なリアンは、辺りをキョロキョロとする。
 薄汚れたブロック塀には時計も掛けてあり、勧められてリアンが座っているソファーも、汚れてはいるが座り心地がいい。
 両サイドをブロック塀に囲まれ、後ろはレンガ造りの建物が建つ空間に作られた部屋は、六畳程はありそうだ。
 ドアはないが、ブルーシートの屋根がある。
 寒ささえ凌げれば、案外快適なのかもしれない。

「さぁ茶だぞ、飲め飲め」

 男は、リアンが座るソファーの前に置かれたローテーブルに、淹れたばかりの茶を置いた。

「…いただきます」

 リアンは溜め息を吐き出した後、茶を啜った。

「…お前、もしかして行く宛てがないのか?」

 男は、リアンの顔をまじまじと見ながら問い掛ける。

「えっ?どうしてですか?」

「あんな所に座り込んでいたじゃないか」

「…はい、行く宛てはありません」

 リアンは正直に答えた。

「よし、じゃあこの街で暮らすか?」

「えっ?この街にですか?」

「そうだ。この街は食べ物には不自由しないし、いい街だぞ。住む所もわしらが作ってやるよ」

「……」

 行く宛てのないリアンは、茶を啜るのを止め、考えた。
 金も無いし、住む家も無い。ホームレスとして暮らすしかないのか?
 それは考えるまでもない。リアンは、答えを出した。

「…お世話になります。よろしいお願いします」

 リアンは、男に頭を下げた。

「よし!じゃあ、わしの仲間を紹介せんといかんな」

「…お願いします…自己紹介遅れました。僕はリアンと言います」

「わしは、ジョルノだ!よろしくな!」