「大丈夫ですか?」

 リアンは、男の肩を両手で支えた。

「おお、これは楽でいい。お前、わしを連れてってくれないか?」

「え?」

「こうやってわしの肩を支えて、連れて行ってくれないか?」

「何処にですか?」

「わしの家まで頼むよ」

「いいですよ」

行く宛ても無く、何よりも困っている者を前にして、リアンは即座にそう答えた。

「ちょい待て、こうした方が楽じゃないかな?」

 男は右手を挙げると、その腕を肩を組む形でリアンに置いた。
 リアンの鼻を、微かに石鹸の香りが擽る。
 身なりは汚れているが、どうやら風呂には入っているようだ。

「おぉ!やはりこちらの方が楽だ!では、出発進行!」

 男の号令の元、二人は秘密基地を後にした。

「ここ右…左」

 男の案内の通りに歩いて行くと、二時間程して隣町に着いた。

「もう直ぐ着くからな」