「…パパ」

 ジュリエは、自分にライトを照らしている男の呼び名を口にする。

「ジュリエなにやってるんだ!勝手にいなくなるんじゃない!帰るぞ!」

 スタルスはそう言いながら、しゃがみ込むジュリエの腕を掴んだ。

「早く立て!帰るぞ!」

 スタルスは激しく怒っているのだろう、額に血管が浮き上がっている。

「…離して!…リアンが帰らなきゃ、私も帰らない!」

 ジュリエは、掴まれる腕を振り払いながら叫んだ。

「…リアン…貴様!ジュリエをこんな所に連れてきやがって!」

 スタルスは歯を剥き出しにして、激しくリアンに向かい叫んでいる。

「私が勝手に付いてきたの!」

 しかし興奮しているスタルスには、ジュリエのこの言葉は届かなかったようだ。

「リアン!お前は出て行け!ジュリエをこんな汚い所に連れてきやがって!」

 スタルスは拳を握り、リアンに向け振り翳した。しかし、咄嗟にジュリエがリアンに覆い被さり、その愚かな行為を防いだ。

「…ジュリエ!帰るぞ!」

 スタルスは殴りつけようとした拳を開き、ジュリエの腕を掴んだ。