「…私ずっと、リアンの後付けてたの」

 ジュリエは悲しそうな顔をして、今にも泣き出しそうだ。

「…なんで?」

「…だってリアン、荷物を纏めて出てっちゃったから…家出するんだと思って」

「…家出じゃないよ…里帰りだよ」

 リアンは心配させたくなくて嘘を吐いた。

「…嘘だ…そんな事言ってなかったじゃない」

 ジュリエの両目は、涙で滲んでいる。

「…ジュリエ帰りなよ…みんな心配してるよ」

「…リアンが帰らなきゃ帰らない」

「…僕はあの家にいちゃだめなんだ」

 リアンは悲しそうに呟いた。

「…じゃあ、私も帰らない」

 ジュリエは、ブランコに座るリアンの横にしゃがみ込んだ。

「…僕は帰れないよ…最初からあの家の家族じゃないし」

「そんな事ない!…私は家族だと思ってるよ!」

 本気でそう思っているからこそ、ジュリエの声は大きくなった。

「…ありがとう」

 リアンは心の底から滲み出る感謝の思いを口にする。