リアンはそっとブランコに腰掛けた。そして、ゆったりとした動作でブランコを漕ぎ出した。
 一定のリズムで揺れるブランコ。
 心を宥めるようなそのリズムが、楽しかった日々を思い出させる。
 リアンは足でブランコを止めると俯いた。そして、瞳を力強く閉じた。
 そうしても流れる続ける涙は、そうしなければ、止まらないと思ったのだろう。

「…リアン」

 誰かの声が聞こえた。
 聞き覚えのあるその声に、リアンは顔を上げた。
 涙で滲んだその目に、悲しそうに見詰めるジュリエの姿が写った。

「…なんで、ジュリエがここに?」

 リアンは服の裾で、涙を拭きながら尋ねた。