その悲しげな表情に、リアンは心が張り裂けそうな程、不安になった。

「…ジャンは……亡くなったよ」

「…えっ!?……何て言ったの?」

 リアンは、聞き間違えであって欲しいと願った。

「…ジャンは崖から落ちて…二年前に亡くなったんだ」

 ジョアンは悲しそうに呟いた。

「……嘘だよね?」

 リアンは嘘であって欲しいと願った。

「…本当だよ」

 ジョアンはリアンを抱き締めながら呟いた。

「…………」

 言葉を失ったリアンの思考は、受け入れられない現実から逃避するように、止まってしまった。
 ジョアンは優しくリアンを包み込んだまま、語り始めた。

「…二年前に山に登ったジャンは、崖から落ちて亡くなったんだ…ジャンの墓はリアンの両親の墓の隣に立ってるよ」

 ジョアンの温もりが、これが現実である事を思い出させた。