「そりゃ知ってるよ。お正月のお参りにばーちゃんはいつも豊臣神社を参拝してるんだからねぇ。でもあの新聞ができたのもここ最近のことだったと思うけど」
「何でも神社の巫女さんと神主さんが占い調べるとかで、探し物や悩み事などを解決してるみたいだよ」
「はー、それはすごいねぇ」

 ばーちゃんの感嘆とした声を聞いて、思わず小憎たらしい左右がしてやったみたとでも言わんばかりに憎たらしい笑みを浮かべてる様子が脳裏に浮かんで、僕はさらに言葉を付け足した。

「でも見つからないこともあるからどうだろうね」

 そうだ。実際は解決しないこともあるって書いてたし、あんなチンケな神通力ではな無理なことだってあっただろう。今回はどうやら見つけられたみたいだけど。

「まぁそりゃあるわねぇ。神様だってわからないことはあるだろうよ」
「占いってどうなんだろうね? それも神様の力だと思う?」

 正直あれは占いなんかじゃないけど、でも表向きには占いを推してるわけで。一般的にどう思われてるのかがちょっと気になった。

「さぁ、ばーちゃんは詳しいことよくわからないけど、おみくじも占いだしねぇ。おみくじ引いた時、書かれてる内容はその後のことを左右するのであれば、あれは神様の力が働いてるんじゃないのかねぇ? その後おみくじは神社に括って帰るから神様にお祈りもしてるんだろうしねぇ。このおみくじが実るようにか、良い方向に行くようにか、それはおみくじの結果次第だろうけれど」

 ばーちゃんはそう言った後、両手を合わせて「ごちそうさまでした」と言い、食器を片付け始めた。
 ……確かにそれもそうか。おみくじはただ引いただけの運試しだとも思えるけれど、その結果にはある意味近しい未来が書かれている。それを信じるか信じないかは本人次第だけど、少なくとも未来を語れる何かが作用していると考えれば、あれは神様の力となるのかもしれない。
 結果が悪ければ結んで帰り、それを神社の神主さんが祈りを捧げてくれる。結果が良ければ結んで神主さんに祈ってもらうのもよし、自分で持って帰るのも良し。結局はお守りのような存在になるのだからばーちゃんの言う通り、神的なものが作用していることになる……少なくともそう信じている行動になることになる。
 僕はばーちゃんの言った言葉を噛み砕くように考えながら、残った昼食に箸を進めた。