「とにかく、掃除が終わったら新聞づくりに入ろうと思ってるの。実際はどうなのかよく分からないけど、キヨさんに早く結果を報告したいとも思ってるから」
みーこさんはそう言いながら再び竹ぼうきで階段を掃き始めた。
「じゃあそれまでに父さんは昼食の用意をしておくよ。佐藤さんもよろしければご一緒にどうでしょうか? あり合わせのものしか用意はできないのですが」
「お言葉は嬉しいのですが、私は一度家に帰ります。祖母がもしかすると昼食を用意しているかもしれませんので」
昼のことは何も伝えず出てきてしまったから、もしかするとばーちゃんは僕が帰ってくるまで昼食を取らないかもしれない。そう考えると申し訳ない気持ちになる。
「そうですか、ではまたいつでも遊びに来てください」
「私新聞を作ってあげるので、また覗きに来てくださいね」
二人に見送られながら、僕はその場を去った。本当は新聞づくりをするみーこさんの様子を見てみたかったし、左右の言葉が気になっていたからもっと詳しく話を聞き出したいところだった。
だけど結局僕は何もできることがなさそうだし、今回キヨさんの家について言ったけど、何の役にも立っていない。全て話を運んだのもみーこさんだ。本当にしっかりした大学生だと言うことを、まざまざと見せつけられる結果となっただけだった。
昨日はばーちゃんにいきり立って人助けだとか言った手前、もう少し役に立つことをしたかったのだが、どうやら僕は鬼ごっこでタッチされても鬼になれないような存在だった。まるでそれは一人前と判断されない0.5人的な存在のごまめと一緒だ。
「——それで、人助けとやらはうまく言ったんかいな?」
家に帰ると、ばーちゃんが昼食を用意して待っていてくれた。用意したと言っても昨日の夜の残り物だが、僕にはそれでも十分ありがたい。
ばーちゃんはバリンッと良い音を鳴らしながら大根のたくわんを頬張った。
「どうやら僕の助けなんていらなかったみたいなんだ」
あははと笑って見せた後、味噌汁を啜る。昨日の具材とは違って、今日は味噌汁にナスとワカメとしめじが入っている。昨日は玉ねぎと人参だった。
「まぁ必要な時に助けてあげたら良いんよ」
それは今だと思っていたんだけどな。なんて思いながら僕はばーちゃんと同じようにバリンッと音をかき鳴らしてたくわんを食べた。
「それで、一体どういった人助けしてるんだい?」
「神社の巫女さんに頼まれてちょっと新聞づくりのお手伝いをね」
「ああ、あのあやかし新聞かいな」
「あれ、ばーちゃん知ってるんだ?」
日中のばーちゃんは家の裏にある小さな畑で自給自足の菜園に精を出している。昔はもっと畑も大きく、じーちゃんと二人で切り盛りしていたらしいけど、歳をとり、じーちゃんも亡くなった今、必要な分だけしか作らなくなったと言っていた。
そんなばーちゃんだからこそ神社のことは知っていても、新聞のことまで知ってるとは思わなかった。
みーこさんはそう言いながら再び竹ぼうきで階段を掃き始めた。
「じゃあそれまでに父さんは昼食の用意をしておくよ。佐藤さんもよろしければご一緒にどうでしょうか? あり合わせのものしか用意はできないのですが」
「お言葉は嬉しいのですが、私は一度家に帰ります。祖母がもしかすると昼食を用意しているかもしれませんので」
昼のことは何も伝えず出てきてしまったから、もしかするとばーちゃんは僕が帰ってくるまで昼食を取らないかもしれない。そう考えると申し訳ない気持ちになる。
「そうですか、ではまたいつでも遊びに来てください」
「私新聞を作ってあげるので、また覗きに来てくださいね」
二人に見送られながら、僕はその場を去った。本当は新聞づくりをするみーこさんの様子を見てみたかったし、左右の言葉が気になっていたからもっと詳しく話を聞き出したいところだった。
だけど結局僕は何もできることがなさそうだし、今回キヨさんの家について言ったけど、何の役にも立っていない。全て話を運んだのもみーこさんだ。本当にしっかりした大学生だと言うことを、まざまざと見せつけられる結果となっただけだった。
昨日はばーちゃんにいきり立って人助けだとか言った手前、もう少し役に立つことをしたかったのだが、どうやら僕は鬼ごっこでタッチされても鬼になれないような存在だった。まるでそれは一人前と判断されない0.5人的な存在のごまめと一緒だ。
「——それで、人助けとやらはうまく言ったんかいな?」
家に帰ると、ばーちゃんが昼食を用意して待っていてくれた。用意したと言っても昨日の夜の残り物だが、僕にはそれでも十分ありがたい。
ばーちゃんはバリンッと良い音を鳴らしながら大根のたくわんを頬張った。
「どうやら僕の助けなんていらなかったみたいなんだ」
あははと笑って見せた後、味噌汁を啜る。昨日の具材とは違って、今日は味噌汁にナスとワカメとしめじが入っている。昨日は玉ねぎと人参だった。
「まぁ必要な時に助けてあげたら良いんよ」
それは今だと思っていたんだけどな。なんて思いながら僕はばーちゃんと同じようにバリンッと音をかき鳴らしてたくわんを食べた。
「それで、一体どういった人助けしてるんだい?」
「神社の巫女さんに頼まれてちょっと新聞づくりのお手伝いをね」
「ああ、あのあやかし新聞かいな」
「あれ、ばーちゃん知ってるんだ?」
日中のばーちゃんは家の裏にある小さな畑で自給自足の菜園に精を出している。昔はもっと畑も大きく、じーちゃんと二人で切り盛りしていたらしいけど、歳をとり、じーちゃんも亡くなった今、必要な分だけしか作らなくなったと言っていた。
そんなばーちゃんだからこそ神社のことは知っていても、新聞のことまで知ってるとは思わなかった。