「……それでは私はそろそろ帰ります。私もまだ神社の掃除が残っていて、父ももしかすると心配しているかもしれませんので」
「あっ、では僕も。お菓子、ご馳走様でした」
みーこさんが立ち上がったのを見て、僕も同じく席を立つ。わたいのない会話を続けていたが、そろそろ話も尽きた頃だった。
「いえいえ、大したお構いもできなくてごめんね」
「いえ、こちらこそ突然来たのに、長居してしまってすみませんでした」
キヨさんはテーブルに両手をついて、「よっこいしょ」と言いながら僕たちを見送ろうと立ち上がった。
この部屋に来る前に通った長い廊下を歩いて玄関へと向かいながら、みーこさんはふと思い出したようにこう言った。
「そうだ、あのご依頼ですが、今父が占ってくれているところです。今回他の依頼もなかったので早く貼り出せるかと思います。なので次号が貼り出されるまで少しお待ちください。もちろん必ず、息子さんのお誕生日までには張り出しますので」
「あら、ありがとう。宮司さんにもよろしくね」
「はい、伝えておきます」
みーこさんと僕はキヨさんに頭を下げて家を出た。
「みーこさんのお父さんが占ってるって言ってましたが……?」
みーこさんの父親は全く霊感というものもなければ、左右だって見えてないと言っていたが、占いはできるのだろうか。いや、結果的に占いで調べてるのではないことはすでに承知済みだ。となるとあれはどういう意味だったのだろうか疑問になった。
「ああ、あれはそう言っておけば父の顔も立つかと思いまして。その方が神職者らしいと思いませんか?」
ニッコリと笑うみーこさん。親の顔まで立てるとは、本当に出来た娘だ。娘の中の娘、クイーンオブ娘だな、なんて感心している中、ふと思い出したのが……。
「そういえば左右のやつ、どこに行って……?」
あいついの一番に乗り込んで行ってたくせに、キヨさんと話をしている間ずっと姿を見せていなかった。
すると——。
「ここにいる」
「……!」
僕が周りを見渡していたちょうど死角となる背後のすぐそばに左右はいた。
思わず心臓が飛び出すかと思ったじゃないか。お化けのように現れるのは僕の寿命が縮まるからやめろと言いたい。
僕が心の中でそう思うと、左右のやつは僕の顔を見て、ニヤリと笑った。してやったりとでも言いたげなその顔……憎たらしいったらありゃしない。
「あっ、では僕も。お菓子、ご馳走様でした」
みーこさんが立ち上がったのを見て、僕も同じく席を立つ。わたいのない会話を続けていたが、そろそろ話も尽きた頃だった。
「いえいえ、大したお構いもできなくてごめんね」
「いえ、こちらこそ突然来たのに、長居してしまってすみませんでした」
キヨさんはテーブルに両手をついて、「よっこいしょ」と言いながら僕たちを見送ろうと立ち上がった。
この部屋に来る前に通った長い廊下を歩いて玄関へと向かいながら、みーこさんはふと思い出したようにこう言った。
「そうだ、あのご依頼ですが、今父が占ってくれているところです。今回他の依頼もなかったので早く貼り出せるかと思います。なので次号が貼り出されるまで少しお待ちください。もちろん必ず、息子さんのお誕生日までには張り出しますので」
「あら、ありがとう。宮司さんにもよろしくね」
「はい、伝えておきます」
みーこさんと僕はキヨさんに頭を下げて家を出た。
「みーこさんのお父さんが占ってるって言ってましたが……?」
みーこさんの父親は全く霊感というものもなければ、左右だって見えてないと言っていたが、占いはできるのだろうか。いや、結果的に占いで調べてるのではないことはすでに承知済みだ。となるとあれはどういう意味だったのだろうか疑問になった。
「ああ、あれはそう言っておけば父の顔も立つかと思いまして。その方が神職者らしいと思いませんか?」
ニッコリと笑うみーこさん。親の顔まで立てるとは、本当に出来た娘だ。娘の中の娘、クイーンオブ娘だな、なんて感心している中、ふと思い出したのが……。
「そういえば左右のやつ、どこに行って……?」
あいついの一番に乗り込んで行ってたくせに、キヨさんと話をしている間ずっと姿を見せていなかった。
すると——。
「ここにいる」
「……!」
僕が周りを見渡していたちょうど死角となる背後のすぐそばに左右はいた。
思わず心臓が飛び出すかと思ったじゃないか。お化けのように現れるのは僕の寿命が縮まるからやめろと言いたい。
僕が心の中でそう思うと、左右のやつは僕の顔を見て、ニヤリと笑った。してやったりとでも言いたげなその顔……憎たらしいったらありゃしない。