「……旦那に先立たれるのと、子供に先立たれるのは、どっちの方が辛いんだろう?」
ばーちゃんと会話をしていて、ふとあのキヨさんの手紙のことを思い出した。キヨさんは旦那さんにも子供にも先立たれたと手紙には書いてあった。
長年連れ添った相手、そして死ぬ時まで一緒に連れそうだろうと思って結婚した相手と、腹を痛めて産んだ子供。子供は旦那よりも先に巣立つ。
それは家を出るだとか、人生の伴侶を見つけて、別の人生を歩むだとか言う意味で。一緒にいる時間は旦那よりも短いけれど、濃厚な時間を過ごしたのも間違いないだろう。
だからどちらか優劣をつけるなら、どちらの方が悲しいのだろうか。そんな素朴な疑問だった。
子供は自分の遺伝子を受け継いでいて、旦那はそうじゃない。だからこそ子供の方が大切だと思う人は多いのではないかと思う。
特に女性は子供を産み育てる存在だ。余計にそう思う人が多いのではないかと思うが、自分は男で、子供もいなければ、生涯を共にする伴侶もいない。そう考えると、純粋に女性の意見が聞いてみたくなったのだ。
「そりゃあ、子供じゃろうねぇ」
ばーちゃんはあっさりと子供だと言った。迷いのない回答だった。
「年功序列やね。子供は自分達より長生きするって思ってるだけに、余計辛いわなぁ」
「なるほど……」
僕が考え込んでいる間に、ばーちゃんはすっかりご飯を食べ終えて、「こちそうさんでした」と言って手を合わせている。
僕は宙に浮かせたままだった箸を動かし、残りのご飯を駆け込んだ。
「それで雅人くんが今日神社でお願いされたことってなんじゃったの?」
ばーちゃんは食器を片付けながら僕の話の本題をつついた。僕も手を合わせて「ごちそうさまでした」と言った後、食器を片す手伝いをしながら、こう答えた。
「人助け、してみようと思って」
ばーちゃんの返事というよりも、僕は頭の中にあるモヤモヤとした感情を消化するかのように、そう言った。
ばーちゃんと会話をしていて、ふとあのキヨさんの手紙のことを思い出した。キヨさんは旦那さんにも子供にも先立たれたと手紙には書いてあった。
長年連れ添った相手、そして死ぬ時まで一緒に連れそうだろうと思って結婚した相手と、腹を痛めて産んだ子供。子供は旦那よりも先に巣立つ。
それは家を出るだとか、人生の伴侶を見つけて、別の人生を歩むだとか言う意味で。一緒にいる時間は旦那よりも短いけれど、濃厚な時間を過ごしたのも間違いないだろう。
だからどちらか優劣をつけるなら、どちらの方が悲しいのだろうか。そんな素朴な疑問だった。
子供は自分の遺伝子を受け継いでいて、旦那はそうじゃない。だからこそ子供の方が大切だと思う人は多いのではないかと思う。
特に女性は子供を産み育てる存在だ。余計にそう思う人が多いのではないかと思うが、自分は男で、子供もいなければ、生涯を共にする伴侶もいない。そう考えると、純粋に女性の意見が聞いてみたくなったのだ。
「そりゃあ、子供じゃろうねぇ」
ばーちゃんはあっさりと子供だと言った。迷いのない回答だった。
「年功序列やね。子供は自分達より長生きするって思ってるだけに、余計辛いわなぁ」
「なるほど……」
僕が考え込んでいる間に、ばーちゃんはすっかりご飯を食べ終えて、「こちそうさんでした」と言って手を合わせている。
僕は宙に浮かせたままだった箸を動かし、残りのご飯を駆け込んだ。
「それで雅人くんが今日神社でお願いされたことってなんじゃったの?」
ばーちゃんは食器を片付けながら僕の話の本題をつついた。僕も手を合わせて「ごちそうさまでした」と言った後、食器を片す手伝いをしながら、こう答えた。
「人助け、してみようと思って」
ばーちゃんの返事というよりも、僕は頭の中にあるモヤモヤとした感情を消化するかのように、そう言った。