——なんて、重い内容なんだ。
 こんな重い内容のお願い事をよくも見ず知らず、どこの馬の骨かも分からない僕に渡したものだ。
 息子の形見を探して欲しい……? どう考えてもシリアスな内容じゃないか。
 世間一般的には、親やパートナーである妻夫よりも、自分がお腹を痛めて産んだ子供を一番に考えると聞く。特に女性であればなおさらだろう。十月十日、子供をお腹の中に宿し育てた後、陣痛という痛みを伴って子を産むのは決まって女性だ。
 だからこそ自分より先に先立たれるのは自分や他の身内が死ぬよりも辛いことだろうと、子供どころか結婚さえしていない、強いて言えば現在彼女募集中である僕でさえそのことは容易に想像ができる。
 それなのにあのおばあさん、キヨさんの切なる願いをこの僕に託し帰ってしまったのだ。それだけ僕は信用の置ける人物に見えたのかもしれない。キヨさんはなかなか良い目を持っていらっしゃるようだ。
 その上、キヨさんは僕にお賽銭も渡していった。抜かりない。神頼みするのだからお参りは必須だろう。けれどキヨさんはここに来なかった地点で、そのお参りすらカットしている。なんたる効率の鬼……僕の会社でキヨさんが働いていたならば、きっと上司が喜ぶであろう効率性だ。

「……お前、何言ってるんだ?」

 何度も手紙の内容を読み込んでいる麗しのみーこさんに目を向けた。するとみーこさんは胸に手を当て、キヨさんの心の内側に共感でもするかのように悲しそうな表情を見せた。みーこさんのなだらかに丘を描くその眉尻が、さらに下へと下がっている。

「これは、見つけてあげなくては……!」

麗しくも凛々しい表情に切り替わった、勇ましいみーこさん。彼女はすっと立ちあがり手紙を再び神棚の上に置いて”パンパン”と柏手(かしわで)を叩いた。

「しかしどのようにして、見つけるのでしょうか……?」

 ずっと気になっている占い調べるという謎の方法がやっと解明される時が来た——そう思い、僕はごくりと生唾を呑み込んだ。

「佐藤さん!」
「はいっ!」

 みーこさんは机越しに僕にがぶり寄りながら、机の上に置いていた僕の手を力強く握り締めた。

「どうかお力を貸してくださいませんか?」

 ……はい?