「ところで、あの依頼というのはなんなのでしょうか?」
僕はそう言いながら、麗しのみーこさんが大事そうに神棚の前に置いたあのメモを指差した。
それは僕がこの神社の入り口で見知らぬおばあさんからの預かりものだった。
「神社の階段下にある掲示板に貼られていた新聞を読みましたが、占い調べるというのは一体どういう……?」
僕はなんとも胡散臭い言葉を並べていた、あの学級新聞のような紙面が気になっていた。
「うっ……!」
正座をしている僕の指を思いっきりつねられ、久しぶりに正座をしていたせいで痺れ始めていた僕の足が悲鳴をあげた。
感覚を失いかけていた矢先の出来事。むしろ感覚が消え去った後だったらよかったものを……と僕は恨めしい視線を隣に座る左右に向けた。
「大丈夫ですか? 気にせず足を崩してくださいね」
「あっいえ、ありがとうございます」
左右は何事もないような顔をしている。それがまた僕の腹わたを煮えくり返させる。
いや、落ち着け、落ち着くんだ、雅人。見えない存在にわざわざイラつく必要などないのだから。ここには子供の姿を神使などいない。少なくとも僕にはその存在が見えていないのだ。
隣で左右がなにやらブツブツと言ったように思うが、僕は気にも止めない様子でみーこさんの父親が話し始めるのを静かに待った。
「ここの神社はすでにご存知のように、ねずみが神使なんです」
「ねずみが神使とはなかなか珍しいのではないでしょうか? 僕の浅い知識で言えば、神使とは狐や狛犬なのだと思っておりましたが……」
「ええ、そうですね。一般的には狐や狛犬が多いかと思いますが、他にも亀や猿、鷹なんていうのもあったり、要は別の生き物も存在するんです」
「そうでしたか……」
要はなんでもありと言ったところだろうか。
僕がそう思った瞬間、再び僕の足に何か異変が起きたように感じた。だがすでに僕の足は無痛状態という神の領域に達していたため、蚊に噛まれようが蜂に刺されようが今の僕は無敵だ。
ザマーミロと攻撃をしてくる謎の人物に言ってやりたいところだ。
「この神社には大国主命という神様を祀っているのですが、その大国主命が火攻めに遭遇した際に助け出したのがねずみだと古事記で記されているんです」
「……なるほど。ということは、この神社の神使が狛ねずみなのはその話からきているのですね」
僕は思わず隣に座っている左右に目を向ける。すると左右は僕の方にガンを飛ばしながら吐き捨てるようにこう言った。
「こっち見るな。バカがうつる」
「なっ!」
「そもそもお前、俺が見えてないんじゃなかったのか?」
「こら、左右! なんて口の聞き方をするの!」
とことん生意気なガキだ! こいつが神様を助けた神使だなんて、天と地がひっくり返ってもありえないだろう。
僕はそう言いながら、麗しのみーこさんが大事そうに神棚の前に置いたあのメモを指差した。
それは僕がこの神社の入り口で見知らぬおばあさんからの預かりものだった。
「神社の階段下にある掲示板に貼られていた新聞を読みましたが、占い調べるというのは一体どういう……?」
僕はなんとも胡散臭い言葉を並べていた、あの学級新聞のような紙面が気になっていた。
「うっ……!」
正座をしている僕の指を思いっきりつねられ、久しぶりに正座をしていたせいで痺れ始めていた僕の足が悲鳴をあげた。
感覚を失いかけていた矢先の出来事。むしろ感覚が消え去った後だったらよかったものを……と僕は恨めしい視線を隣に座る左右に向けた。
「大丈夫ですか? 気にせず足を崩してくださいね」
「あっいえ、ありがとうございます」
左右は何事もないような顔をしている。それがまた僕の腹わたを煮えくり返させる。
いや、落ち着け、落ち着くんだ、雅人。見えない存在にわざわざイラつく必要などないのだから。ここには子供の姿を神使などいない。少なくとも僕にはその存在が見えていないのだ。
隣で左右がなにやらブツブツと言ったように思うが、僕は気にも止めない様子でみーこさんの父親が話し始めるのを静かに待った。
「ここの神社はすでにご存知のように、ねずみが神使なんです」
「ねずみが神使とはなかなか珍しいのではないでしょうか? 僕の浅い知識で言えば、神使とは狐や狛犬なのだと思っておりましたが……」
「ええ、そうですね。一般的には狐や狛犬が多いかと思いますが、他にも亀や猿、鷹なんていうのもあったり、要は別の生き物も存在するんです」
「そうでしたか……」
要はなんでもありと言ったところだろうか。
僕がそう思った瞬間、再び僕の足に何か異変が起きたように感じた。だがすでに僕の足は無痛状態という神の領域に達していたため、蚊に噛まれようが蜂に刺されようが今の僕は無敵だ。
ザマーミロと攻撃をしてくる謎の人物に言ってやりたいところだ。
「この神社には大国主命という神様を祀っているのですが、その大国主命が火攻めに遭遇した際に助け出したのがねずみだと古事記で記されているんです」
「……なるほど。ということは、この神社の神使が狛ねずみなのはその話からきているのですね」
僕は思わず隣に座っている左右に目を向ける。すると左右は僕の方にガンを飛ばしながら吐き捨てるようにこう言った。
「こっち見るな。バカがうつる」
「なっ!」
「そもそもお前、俺が見えてないんじゃなかったのか?」
「こら、左右! なんて口の聞き方をするの!」
とことん生意気なガキだ! こいつが神様を助けた神使だなんて、天と地がひっくり返ってもありえないだろう。