「えっと、あの……」

「このたびは古着をお探しですか? それともお茶を?」

 男の後ろからひょっこり現れたのは、白いケモ耳をつけた男の子だった。小学校低学年くらいに見える。

(え……でも、なんか変)

 男の子は髪も白く、お尻からモフモフのガマの穂に似た尻尾が出ている。

 さらに服は神社の神主が着ているような、白い着物に水色の袴。

(コスプレ? え? ここ何屋さん?)

 もしかしてコスプレショップなのかと思うと、着流しの男がすかさず言った。

「コスプレショップではありません」

 違った。

 いやそれより、思考を読まれたような気がして、美波は驚いた。

「あ、そうですか。実はお客じゃないんです、すみません。私、道に迷って……というか、記憶がないんです。交番に行きたいので、場所を教えてください」

 言い終わったあと、我ながらなんて怪しいのだろうと美波は反省した。