美波は階段を踏み外すような感覚に襲われ、唐突に目を開いた。

「……え、あれ……?」

 彼女はきょろきょろと周囲を確認する。

 いつもと同じ、ひとり暮らしのワンルームアパートだ。

「今何時だっけ?」

 昨夜はバイトを終えて帰ってきて、すぐに寝てしまったのだろうと彼女は理解した。

 携帯で時間を確認すると、午前七時。水曜日。

「ああ~、水曜日辛い~」

 まだ週の半分も終わっていないと実感する水曜は、講義の中で最も苦手な実験がある日だ。

 美波はロングスカートに着替え、バッグの中のテキストを入れ替えた。