学校帰りに二人でコンビニに寄って、じゃんけん勝負で肉まんをおごってもらったこともある。
中学の目の前にコンビニがあって、そこは生徒達のたまり場になっていた。
あのときは買い食いが先生に見つかりそうになってダッシュしたんだけど、お互いの家が線路をはさんで南北反対方向だったから別々に逃げちゃったんだよね。
それで康輔が一人だけ追いかけられちゃって、『おまえとのじゃんけんには負けたけどよ、俺、内藤には勝ったぜ』って、生徒指導の先生を振り切ったことを自慢してたっけ。
あのあと、『ごほうびに肉まんおごってくれ』って言われて、あたしも一人だけ楽して悪かったなって反省したからおごってあげたんだった。
レールがキイキイ鳴って電車が一瞬減速した。
目の前でまた康輔があくびした。
きっと覚えてないんだろうな、こんな思い出。
まあ、そんなことを言ったって、あたしも記憶力はないから、いろんなことをすぐに忘れてしまう。
お互い様ってやつだ。
いろんなことを忘れたとしても、新しい思い出がどんどんできれば、全体では減らないし、いいんじゃないかな。
むしろ、これから先も、おぼえていられないくらいの思い出があふれているってことなのかもしれない。
一緒じゃないときも、あたしたちはつながっている。
中学の時からお互いにスマホを持っていて、暇さえあれば、っていうか、あいつヒマしかないから、けっこうウザいくらいにくだらない写真を撮って送りつけてきた。
男友達と変顔してたり、遠近法でパチンコ屋の看板の一文字だけ指で隠したり、どう返事しろって言いたいのかまるでわけの分からない写真があたしのスマホに積もり積もっている。
おまけになぜか『コ』隠してるし。
ほんと、意味わかんない。
カレシ持ちの女友達によれば、男子って、あんまり連絡よこさないやつの方が多いらしいから、悪く言っちゃいけないのかなとは思うんだけど、あんなの正直いらない。
じゃあ消せばいいじゃんとみんなに言われる。
うん、その通りだ。
分かってる。
でも、消してない。
べつに思い出を残したいからじゃない。
あとで、康輔の黒歴史として何かに使えるかもしれないでしょ。
だから消さないでいるだけだ。
中学の目の前にコンビニがあって、そこは生徒達のたまり場になっていた。
あのときは買い食いが先生に見つかりそうになってダッシュしたんだけど、お互いの家が線路をはさんで南北反対方向だったから別々に逃げちゃったんだよね。
それで康輔が一人だけ追いかけられちゃって、『おまえとのじゃんけんには負けたけどよ、俺、内藤には勝ったぜ』って、生徒指導の先生を振り切ったことを自慢してたっけ。
あのあと、『ごほうびに肉まんおごってくれ』って言われて、あたしも一人だけ楽して悪かったなって反省したからおごってあげたんだった。
レールがキイキイ鳴って電車が一瞬減速した。
目の前でまた康輔があくびした。
きっと覚えてないんだろうな、こんな思い出。
まあ、そんなことを言ったって、あたしも記憶力はないから、いろんなことをすぐに忘れてしまう。
お互い様ってやつだ。
いろんなことを忘れたとしても、新しい思い出がどんどんできれば、全体では減らないし、いいんじゃないかな。
むしろ、これから先も、おぼえていられないくらいの思い出があふれているってことなのかもしれない。
一緒じゃないときも、あたしたちはつながっている。
中学の時からお互いにスマホを持っていて、暇さえあれば、っていうか、あいつヒマしかないから、けっこうウザいくらいにくだらない写真を撮って送りつけてきた。
男友達と変顔してたり、遠近法でパチンコ屋の看板の一文字だけ指で隠したり、どう返事しろって言いたいのかまるでわけの分からない写真があたしのスマホに積もり積もっている。
おまけになぜか『コ』隠してるし。
ほんと、意味わかんない。
カレシ持ちの女友達によれば、男子って、あんまり連絡よこさないやつの方が多いらしいから、悪く言っちゃいけないのかなとは思うんだけど、あんなの正直いらない。
じゃあ消せばいいじゃんとみんなに言われる。
うん、その通りだ。
分かってる。
でも、消してない。
べつに思い出を残したいからじゃない。
あとで、康輔の黒歴史として何かに使えるかもしれないでしょ。
だから消さないでいるだけだ。