教室の中は入学式の日だというのにもう打ち解けた様子でガヤガヤしている。
「えっ…」
教室の1番後ろの窓際の席。
玄関前で見かけた彼_慧さんが自分の席で顔をふせて寝ていた。
やっぱりさっきのは見間違いじゃなかったんだっ…。
私は早速慧さんの席に行こうとしたけどそのときチャイムが鳴ったのでいそいで席に座った。
先生が入ってきて1人ずつ自己紹介していく。
私も、たどたどしくなりながらも自己紹介していると、ふと視界に慧さんが入った。
慧さんは皆が自己紹介しているというのに頬杖をついて窓の外を眺めている。
…あまり人と話したくないのかな。
助けてくれたときの彼の印象と少し違っていた。
そのままどんどん皆が自己紹介していって、慧さんの番になる。
慧さんが椅子から立ち上がった。
「如月慧(キサラギケイ)です。…よろしく。」
周りの女の子たちはコソコソと「如月くん、かっこいいね」って話し合ってる。
私は慧さんの顔を見た。
色素の薄い髪、色白の肌、大きな二重、スっと通った鼻筋に綺麗な唇。
…たしかに慧さん、イケメンかも。
そう思いながら見ていると、一瞬慧さんと目が合った気がした。
私はその後、自己紹介が終わって先生が話してる間も慧さんのことが頭から離れなかった。