「てかさ、あんたは結局どう思ってんの?如月のこと。友達になろとか言ってるけど。」

昼休み。2人でお弁当を食べていると、みっちゃんが箸でブロッコリーを摘みながら私を見た。

「もちろんきさらぎ……慧くんは友達だよ?」

やっぱりまだ慧くん呼びは慣れないなぁ。

「ふーん。」

みっちゃんはじゃあさ、と箸にブロッコリーを挟んだまま言葉を続ける。

「恋愛感情、とかないわけ?」

「え〜、ないない」

何言ってんの、と笑い飛ばす私に、みっちゃんはまた「ふーん」と言ってブロッコリーを口に運んだ。

「それならさ、…如月に絡むのもほどほどにしといたほうがいいんじゃない?」

今度は卵焼きを摘みお弁当箱の中を見つめながら言う。

「え、なんで?」

「ほら、…如月ってモテるじゃん?だから、遥香が如月と友達だと思ってても周りの女子はそうは見えてないってこと。」


周りの女子はそうは見えてないってこと。


つまり、私が慧くんと話したりすることで周りの女子から妬みを買っている…ということか。

まぁ、だからってせっかく仲良くなれつつある慧くんと今更距離を置くなんて選択肢は私にはないけれど、私は昼休みが終わって授業が始まってもそのことが頭にチラついていた。