「…昨日も断られたぁっ…」
あの日から2週間。
私は朝教室に入るなり、みっちゃんに昨日の報告をして机に突っ伏した。
「まーた断られたの?…えっと、昨日でたしか…10回目?」
「違うよ!昨日で9回目!」
突っ伏していた顔を上げビシッと訂正すると「どっちでもそんなに変わんないじゃん。」と適当なことを言うみっちゃん。
「変わるよ!」
「変わりません。…っていうか、遥香入学式の日からずーっと如月くんに告白してるんでしょ?…懲りないなぁ」
毎回断られるのに、って言葉をつけるみっちゃんは意地悪だ。
「告白じゃないよ?友達になろ?って言ってるだけだし。」
「まぁ、遥香がそう思っていてもあの子たちはそうは思ってないみたいだよ?」
みっちゃんが目線で示す先には私の方をギロっと睨む女子たちが。
どうやら入学早々爆発的に人気になった慧さんは本人も知らないうちに校内ファンクラブを結成してしまったらしく、
毎日慧さんに「友達になろ?」って言い続けてる私のことを彼女たちは目の敵にしている。
…うぅ、女子は怖いなぁ。
彼女たちの眼力に肩を縮こまっているとみっちゃんが「ほら、遥香の王子様来たよ。」なんて言うから余計に鋭くなる視線。
「もうみっちゃん、余計なこと言っちゃだめだよ。」
そう言いながらも入口の方に目を向けると、今日も相変わらず眠そうな顔をしている慧さんの姿。
それを目にするだけで私の心のバロメーターはぐんぐん上がる。
みっちゃんはそんなの恋だって言うけど私は違うと思う。
…多分あの日私を助けてくれたときから私の中で慧さんは、大切な友達になっていたんだ。