式場のスタッフさんの声がかかり、みんながぼくの横を通って挙式会場へと入っていく。穏やかな顔のみんなが入り終わって扉が閉まると、やがてひーくんとゆうちゃん、パパがやってきた。三人とも顔がこわばっていた。
ゆうちゃんは真っ白いふんわりとしたドレスを着ている。刺繍の綺麗なドレスだ。花嫁さんって、こんなにもうつくしいんだなあ、とぼくはぼんやりと思う。
小さい頃、プリンセスに憧れて「ごっこ」をしていたゆうちゃんを思い出す。ゆうちゃんは今日、本当のプリンセスになったのだ。真っ赤な口紅も、今日はよく似合っている。
先にひーくんが入場し、パパと腕を組んで待つゆうちゃんの姿を見守る。ぼくはこんなにおめでたい日も、ゆうちゃんのそばに居られるなんて、やっぱりしあわせものだ。
「いってきます」
扉が開き、ゆうちゃんの背中を見送るぼくの、(いってらっしゃい)がいつか届きますように。
ぼくはいつも、ゆうちゃんのそばにいるよ。



