「本文に載ってたURLも見たことのあるものだったし、写真も同じだろ?」
「うん、そうだね。確かに〝本文〟はそうかもしれない」
「本文以外になにか、ヒントになるようなものがあったのか?」
「送信元のメールアドレスに入ってたTrifolium repensって単語――アルファベットの並びがラテン語だったから、これもShabetterのIDと同じでなにかの学名だと思う」
 疑問に答えるように、カズラは言葉を続ける。
 メールアドレスそのものには無頓着だったので、それは盲点だった。
 俺には見えていない真実にカズラは、辿り着こうとしているのかもしれない。
「お兄ちゃん、帰ったら頼みたいことがあるんだけど」
「ああ、俺にできることなら任せろ」
 表情を険しくしながらこちらを見るカズラに、俺は鷹揚に頷いてみせる。
 そしてカズラは、こう告げるのだった。
「今回の犯人、分かったかもしれない」