◇千鳥飛燕の恐怖の現場
今からする話は昨日、あたしが体験した話なんですけどね。
昨日は夕方からバイトだったわけですよ。実は最近、バイトを一つ増やしましてね。
初出勤なもんだからつい気合い入れて、遅くまでシフトに入っちゃった。
んでもってバイトが終わって店から出ると、外はすっかり真っ暗なわけですよ。
……ンでぇー、バイトの疲れで疲労困憊だったもんだから、一刻も早く家に帰りたかったの。
ちなみに新しいバイト先からだと、居酒屋裏の裏路地を通った方が近道だった。
ろくに街灯もなくて薄暗い道だけど、まあ、あたしもとにかく疲れてたもんで多少は迷ったけど、結局はそこから帰ることにしちゃった。
……ンでぇー、薄暗くて不気味な路地裏を歩いてると、なーんかイヤな予感がしたわけ。
「うわァーヤダなァー、気持ち悪いなァー」
そう思った瞬間。
ここ最近、巷を騒がせているとある噂話を思い出しちゃった。
『夜に繁華街の裏路地を通ると、亡霊の声が聞こえてくる』
あたしも友達か、はたまたその知り合いかに聞いた話かは定かじゃないですけどね。
夜の繁華街。
人気のない路地裏を通ると、幽霊が出るって言うんですよ。
話を聞いたときは冗談半分で怖がってましたけど、思えばその幽霊だか亡霊が出るって言うのは、確かここら辺だったんですよ。
「幽霊なんていない! 亡霊なんていない!」
不気味な路地裏の様子を目の当たりにして、噂が本当に怖くなってきたあたしは、そう自分に言い聞かせて早足でその場から立ち去ろうとしたんですよ。
正直、「うわーヤバいなァー」と思いつつも、一刻でも早くそこから脱出したあたしは必死に出口を目指したんですよ。
幸いあと少しで、路地裏から抜けられる距離まで来ました。
でもね、あたしはそこで聞いちゃった。
「イッ、イィィィィッー!!」と地面の底から響いてくるような禍々しい怨霊の叫び声を。
突如、「後ろを振り返っちゃいけない! 振り返っちゃいけない!」という声が頭の中に響いてきたんですよ。
……ンでー「うわーヤバいなァー」と思いつつも、思いきって後ろを振り返っちゃった。
でも後ろには、誰もいなかったんですよ……人間はおろか、犬や猫の一匹もいやしない。
周囲を見渡しながら「頼むから勘違いであってくれナンマイダブナンマイダブー」と一心不乱にお経を唱えてたんですが、また「ウッ、ウオォォォォンッー!!」とこの世の物とは思えない声が全身に響き渡ってきたんですよ。
辺りにはあたし以外、誰もいないはずなのに、声はどこからか聞こえてくるんですよ。
もう我慢できなくなったあたしは、死ぬ気で家まで走った。
幸いなことにあの不気味な声は、もう聞こえてくることはなかったんですよ。
でもね、あたしは今もこう思うんですよ。
――今夜もまた亡霊があの路地裏で、誰かの前に姿を現すんじゃないか……ってねぇ。
今からする話は昨日、あたしが体験した話なんですけどね。
昨日は夕方からバイトだったわけですよ。実は最近、バイトを一つ増やしましてね。
初出勤なもんだからつい気合い入れて、遅くまでシフトに入っちゃった。
んでもってバイトが終わって店から出ると、外はすっかり真っ暗なわけですよ。
……ンでぇー、バイトの疲れで疲労困憊だったもんだから、一刻も早く家に帰りたかったの。
ちなみに新しいバイト先からだと、居酒屋裏の裏路地を通った方が近道だった。
ろくに街灯もなくて薄暗い道だけど、まあ、あたしもとにかく疲れてたもんで多少は迷ったけど、結局はそこから帰ることにしちゃった。
……ンでぇー、薄暗くて不気味な路地裏を歩いてると、なーんかイヤな予感がしたわけ。
「うわァーヤダなァー、気持ち悪いなァー」
そう思った瞬間。
ここ最近、巷を騒がせているとある噂話を思い出しちゃった。
『夜に繁華街の裏路地を通ると、亡霊の声が聞こえてくる』
あたしも友達か、はたまたその知り合いかに聞いた話かは定かじゃないですけどね。
夜の繁華街。
人気のない路地裏を通ると、幽霊が出るって言うんですよ。
話を聞いたときは冗談半分で怖がってましたけど、思えばその幽霊だか亡霊が出るって言うのは、確かここら辺だったんですよ。
「幽霊なんていない! 亡霊なんていない!」
不気味な路地裏の様子を目の当たりにして、噂が本当に怖くなってきたあたしは、そう自分に言い聞かせて早足でその場から立ち去ろうとしたんですよ。
正直、「うわーヤバいなァー」と思いつつも、一刻でも早くそこから脱出したあたしは必死に出口を目指したんですよ。
幸いあと少しで、路地裏から抜けられる距離まで来ました。
でもね、あたしはそこで聞いちゃった。
「イッ、イィィィィッー!!」と地面の底から響いてくるような禍々しい怨霊の叫び声を。
突如、「後ろを振り返っちゃいけない! 振り返っちゃいけない!」という声が頭の中に響いてきたんですよ。
……ンでー「うわーヤバいなァー」と思いつつも、思いきって後ろを振り返っちゃった。
でも後ろには、誰もいなかったんですよ……人間はおろか、犬や猫の一匹もいやしない。
周囲を見渡しながら「頼むから勘違いであってくれナンマイダブナンマイダブー」と一心不乱にお経を唱えてたんですが、また「ウッ、ウオォォォォンッー!!」とこの世の物とは思えない声が全身に響き渡ってきたんですよ。
辺りにはあたし以外、誰もいないはずなのに、声はどこからか聞こえてくるんですよ。
もう我慢できなくなったあたしは、死ぬ気で家まで走った。
幸いなことにあの不気味な声は、もう聞こえてくることはなかったんですよ。
でもね、あたしは今もこう思うんですよ。
――今夜もまた亡霊があの路地裏で、誰かの前に姿を現すんじゃないか……ってねぇ。