『まっ、運が悪かったとしか言えないっしょ。こういうのは誰でも一度は経験するもんじゃん。通過儀礼、ってヤツ? まさか不登校になるまで追い込むとは思わなかったケド』
『ごしゅーしょーさまー、がっしょ~』
『雫、アンタ定家に悪いって思ってないっしょ?』
『あ、バレた? なんだかんだで、ウチも定家んこと好きくなかったしぃ。ああ言う地味子とか見てると、なにか気に食わないんよ。無駄に頭良いみたいだし』
『ギャハハ、ヒッデーの。アンタらマジ、容赦なくて引くわ~』
御坊君が口にした彼女たちの会話を聞いて、胸が締め付けられるように痛い。
きっと彼女たちにとってわたしは、その程度の人間だったのだろう。
顔を俯かせているとお兄ちゃんが、手を優しく握ってくれたことに気付く。
暗く澱んだ気持ちも、それによって徐々に和らいでいくのが分かった。
「確かに世間話の一環で、クラスで誰が好みか? なんて聞かれたよ。その時は考えもなしに答えたけど、そんな僕の浅慮が定家さんをここまで追い込んだんだ」
わなわなと震えながら御坊君は、とても苦しそうに言葉を続ける。
きっと彼自身も自分の他意のない発言で、誰かがイジメのターゲットにされるとは思ってなかったはずだ。
「定家さんがイジメられた原因は僕なんだ。だから余計に自分が許せなかった」
御坊君はイジメの傍観者になってことで既に罪悪感を抱いていたのに、そこに加えて意識しないでとは言え自分の発言がそもそもの発端であると知った。
そこから生まれた絶望感は、わたしには計り知れないものだろう。
「でも同じくらいに許せなかったのは、そんなくだらない理由でイジメを首謀した篝火紫陽だ……! それに笑いながら加わっていたヤツらも、同じくらい許せなかった!!」
歯を食いしばって怒りに顔を歪ませて、御坊君は声を荒げて叫んだ。
その表情は篝火さんたちに対する憎悪が満ち溢れている。
「自分の好きなヤツのタイプだったから? 恋敵で邪魔だから? 通過儀礼? 誰でも一度は経験する? ふざけるなよ! アイツらはそんなくだらない理由で、他人の人生丸ごと駄目になるかもしれない残酷な仕打ちを笑いながらやってるんだ……ッ!!」
御坊君は目の前にある机に、拳を叩き付けながら叫んでいた。
彼の言葉を聞いてイジメとは爆弾を押しつけているようなものだ、とわたしは思った。
『ごしゅーしょーさまー、がっしょ~』
『雫、アンタ定家に悪いって思ってないっしょ?』
『あ、バレた? なんだかんだで、ウチも定家んこと好きくなかったしぃ。ああ言う地味子とか見てると、なにか気に食わないんよ。無駄に頭良いみたいだし』
『ギャハハ、ヒッデーの。アンタらマジ、容赦なくて引くわ~』
御坊君が口にした彼女たちの会話を聞いて、胸が締め付けられるように痛い。
きっと彼女たちにとってわたしは、その程度の人間だったのだろう。
顔を俯かせているとお兄ちゃんが、手を優しく握ってくれたことに気付く。
暗く澱んだ気持ちも、それによって徐々に和らいでいくのが分かった。
「確かに世間話の一環で、クラスで誰が好みか? なんて聞かれたよ。その時は考えもなしに答えたけど、そんな僕の浅慮が定家さんをここまで追い込んだんだ」
わなわなと震えながら御坊君は、とても苦しそうに言葉を続ける。
きっと彼自身も自分の他意のない発言で、誰かがイジメのターゲットにされるとは思ってなかったはずだ。
「定家さんがイジメられた原因は僕なんだ。だから余計に自分が許せなかった」
御坊君はイジメの傍観者になってことで既に罪悪感を抱いていたのに、そこに加えて意識しないでとは言え自分の発言がそもそもの発端であると知った。
そこから生まれた絶望感は、わたしには計り知れないものだろう。
「でも同じくらいに許せなかったのは、そんなくだらない理由でイジメを首謀した篝火紫陽だ……! それに笑いながら加わっていたヤツらも、同じくらい許せなかった!!」
歯を食いしばって怒りに顔を歪ませて、御坊君は声を荒げて叫んだ。
その表情は篝火さんたちに対する憎悪が満ち溢れている。
「自分の好きなヤツのタイプだったから? 恋敵で邪魔だから? 通過儀礼? 誰でも一度は経験する? ふざけるなよ! アイツらはそんなくだらない理由で、他人の人生丸ごと駄目になるかもしれない残酷な仕打ちを笑いながらやってるんだ……ッ!!」
御坊君は目の前にある机に、拳を叩き付けながら叫んでいた。
彼の言葉を聞いてイジメとは爆弾を押しつけているようなものだ、とわたしは思った。