そんな彼女の告白を無下にすれば、きっと彼も今後の学校生活でなにか肩身の狭い思いをする。過去の経験からして、そう言った危険性は取り除いておきたいはずだ。
「だから僕は告白を受けた。適当な時期に別れて、元の関係に戻るつもりだった……少なくとも、〝あの話〟を聞くまでは」
御坊君にとってイジメに加わっていた人間と付き合うと言うことは、苦痛以外の何物でもなかったのかもしれない。無力感に打ちひしがれたあとの彼ならば尚更に。
でもクラスで上手くやっていきたい以上、その告白を断ることはできなかった。
「定家さん。君は自分がイジメられていた理由を知ってるかい?」
「え――」
不意の問いかけに、どきっと心臓を鷲掴みされた心地になる。
どうして今、そんなことを御坊君は尋ねてくるのだろうか?
「ううん……知らない、よ」
「……そっか。いや、そうだろうね」
イジメのきっかけについては、自分でも何回も考えた。でも結局、分からなかった。
ある日突然わたしは、クラスの女子たちからイジメられるようになった。
それは兆候もない突然のことで、自分にはまったく心当たりがなかった。
「定家さんがイジメられるようになったのは――僕のせい、なんだ」
重く溜め込んだ息を吐き出すように、御坊君は言葉を口にする。
わたしはその意味が分からずに、頭が真っ白になってしまった。
どうして? そう尋ねたいのに声が出ない。からからに渇いた喉に言葉が引っ掛かる。
「篝火と付き合ってから暫くして、僕は月下部・雪ノ下・蒲公の会話を偶然聞いた。その会話の中でアイツらはこんなことを言ってたんだ」
『でも紫陽もエゲつないよね~。自分の好きな人が自分以外の別の子タイプだって言ってたら、容赦なく潰しちゃうし。本当、敵に回したくないっつーかさぁ』
『定家もカワイソだよねぇ。なーんにも悪ぃことしてないのに、入学早々イジメられてさ』
『紫陽のヤツ、定家の教科書破いてる時とか、机に落書きしてる時とか、スゲェ笑顔なの。ありゃあ、相当にムカついてたんだろうねぇ。ちょっと引いたわ』
『最初に、定家ってなんか邪魔じゃね? って言われた時の紫陽の顔、マジ過ぎてめっちゃビビったわ~。でも結局、御坊と付き合えたみたいだし、結果オーライじゃね?』
「だから僕は告白を受けた。適当な時期に別れて、元の関係に戻るつもりだった……少なくとも、〝あの話〟を聞くまでは」
御坊君にとってイジメに加わっていた人間と付き合うと言うことは、苦痛以外の何物でもなかったのかもしれない。無力感に打ちひしがれたあとの彼ならば尚更に。
でもクラスで上手くやっていきたい以上、その告白を断ることはできなかった。
「定家さん。君は自分がイジメられていた理由を知ってるかい?」
「え――」
不意の問いかけに、どきっと心臓を鷲掴みされた心地になる。
どうして今、そんなことを御坊君は尋ねてくるのだろうか?
「ううん……知らない、よ」
「……そっか。いや、そうだろうね」
イジメのきっかけについては、自分でも何回も考えた。でも結局、分からなかった。
ある日突然わたしは、クラスの女子たちからイジメられるようになった。
それは兆候もない突然のことで、自分にはまったく心当たりがなかった。
「定家さんがイジメられるようになったのは――僕のせい、なんだ」
重く溜め込んだ息を吐き出すように、御坊君は言葉を口にする。
わたしはその意味が分からずに、頭が真っ白になってしまった。
どうして? そう尋ねたいのに声が出ない。からからに渇いた喉に言葉が引っ掛かる。
「篝火と付き合ってから暫くして、僕は月下部・雪ノ下・蒲公の会話を偶然聞いた。その会話の中でアイツらはこんなことを言ってたんだ」
『でも紫陽もエゲつないよね~。自分の好きな人が自分以外の別の子タイプだって言ってたら、容赦なく潰しちゃうし。本当、敵に回したくないっつーかさぁ』
『定家もカワイソだよねぇ。なーんにも悪ぃことしてないのに、入学早々イジメられてさ』
『紫陽のヤツ、定家の教科書破いてる時とか、机に落書きしてる時とか、スゲェ笑顔なの。ありゃあ、相当にムカついてたんだろうねぇ。ちょっと引いたわ』
『最初に、定家ってなんか邪魔じゃね? って言われた時の紫陽の顔、マジ過ぎてめっちゃビビったわ~。でも結局、御坊と付き合えたみたいだし、結果オーライじゃね?』