それが顔の上から眼鏡を奪う。
ひんやりとしたそれの手が僕の目を覆った。
「お前の目をいただこう」
それの手が離れたが、まだ昼間だというのに辺りは真っ暗だった。
もしかして自分はまだ、まぶたを閉じているのでは。
そう疑ってこれ以上ないほど目を見開くも、やはりなにも見えない。
「なに、もともとそれほど役に立ってない目だ。
さほど支障はなかろうて」
ころころと笑うそれの声が、いつまでも響いた――。
視力を失った僕を、父は座敷牢へ閉じ込めた。
こんなところがあるだなんて知らなかったし、昔は狂人を閉じ込めていたのだと知ると父にとって自分はそういう存在になったのだと苦しくなる。
「父上にとって僕は家の恥ですか……?」
真っ暗な座敷牢には日が差さない。
といっても僕の目には真昼でも真っ暗にしか見えないのだが。
それでも北向きの寒い牢は僕の心を蝕んでいく。
「僕はいらない子だったのですか……?」
ひんやりとしたそれの手が僕の目を覆った。
「お前の目をいただこう」
それの手が離れたが、まだ昼間だというのに辺りは真っ暗だった。
もしかして自分はまだ、まぶたを閉じているのでは。
そう疑ってこれ以上ないほど目を見開くも、やはりなにも見えない。
「なに、もともとそれほど役に立ってない目だ。
さほど支障はなかろうて」
ころころと笑うそれの声が、いつまでも響いた――。
視力を失った僕を、父は座敷牢へ閉じ込めた。
こんなところがあるだなんて知らなかったし、昔は狂人を閉じ込めていたのだと知ると父にとって自分はそういう存在になったのだと苦しくなる。
「父上にとって僕は家の恥ですか……?」
真っ暗な座敷牢には日が差さない。
といっても僕の目には真昼でも真っ暗にしか見えないのだが。
それでも北向きの寒い牢は僕の心を蝕んでいく。
「僕はいらない子だったのですか……?」



