星夜のところの茶屋で働くことが決まり、次の土曜日に出勤することになり、あの後茶蕎麦を食べた後に、メニューと働く流れやものの場所など聞いて、働く上で必要な準備物、靴とか服装とかを確認しておいた。
美月は高校に入ってすぐコンビニでバイトを始めた。そのため、どういうことを聞かないといけないのか、どういうものが必要なのかはなんとなく分かっていた。だからこそ土曜日に出勤する前に色々確認をしておいたのだった。
足取りも軽く、美月が家路に着く頃には夕刻になっていた。バイトはとりあえず繋ぎで働けるところが決まり、もし可能ならバイトを掛け持ちしても良いと考えていた。星夜のところでは短時間な上、美月は星夜の家族の雰囲気が好きだった。
帰り際に新しく契約したスマホを手に、帰ったら星夜の母親の連絡先を登録しようと気持ちが浮き足立っていた。
美月は祐一からお小遣いはもらっているが、前にバイトしていた貯金がある。それで今回のスマホを購入したのだ。
「ただいま」
玄関の扉を開けると、廊下は夕日の色に焼けていた。一応そう言ったものの、祐一はまだ帰宅していない時間だろうと思っていた。玲子は時々帰宅が早いが、今日は帰りが遅くなると言っていたのを、廊下を歩きながら思い出していた。
外はまだ日が高く、暑い。そのため室内は蒸されるようにむっとしていてもおかしくないのだが、ダイニングへ向かうごとに部屋はどんどんクーラーの冷気を帯びていた。
今朝家を出るときに、チェックしてクーラーも消えていたはずなのにおかしい。そう思いながらも廊下を抜け、ダイニングの扉を開けたその時だった。
「あっ、お帰りなさーい!」
「どもー、初めましてー!」
ダイニングの扉を開けた瞬間、中にいる人物達が美月の姿を見つけて、にこやかにそう声をかけるが、美月はこの人物達が誰なのか全く見当がつかなかった。
「……あっ、えっと……?」
(誰? 不法侵入者……? でもさっき、鍵閉まってたよね? 朝も鍵はきちんと締めて行ったよね? って言うか、この人達顔がそっくり……)
いろんなことを一度に考えすぎて固まってしまった美月。そんな美月を見て、顔がそっくりな双子は、同じような顔で同じ表情で美月にこう言った。
「僕はタカでーす」
「うちはコウでーす」
二人とも名前を名乗りながらそれぞれが手を挙げた。まるで選手宣誓をするかのようにピシッと耳に手を当てながら天に向かって手を突き出した。
「うちらは玲子ちゃんの親戚やねん」
「玲子さんの、親戚……?」
美月はなおも固まったまま、小さな口はそんな言葉だけを吐き出した。
「そうそう、今日からちょっと理由があってお家にお邪魔することになってんけど、聞いてない?」
「……あっ、そうだったんですか」
(今朝は何も言ってなかったけど、もしかしたら日中にメッセージを送ってくれてたのかもしれない。玲子さんはいつも忙しくしてるから……)
バタバタとしていた今朝の様子を思い出しながら、美月は壊れたスマホが入ったスクールバックに視線を向けた。
美月は高校に入ってすぐコンビニでバイトを始めた。そのため、どういうことを聞かないといけないのか、どういうものが必要なのかはなんとなく分かっていた。だからこそ土曜日に出勤する前に色々確認をしておいたのだった。
足取りも軽く、美月が家路に着く頃には夕刻になっていた。バイトはとりあえず繋ぎで働けるところが決まり、もし可能ならバイトを掛け持ちしても良いと考えていた。星夜のところでは短時間な上、美月は星夜の家族の雰囲気が好きだった。
帰り際に新しく契約したスマホを手に、帰ったら星夜の母親の連絡先を登録しようと気持ちが浮き足立っていた。
美月は祐一からお小遣いはもらっているが、前にバイトしていた貯金がある。それで今回のスマホを購入したのだ。
「ただいま」
玄関の扉を開けると、廊下は夕日の色に焼けていた。一応そう言ったものの、祐一はまだ帰宅していない時間だろうと思っていた。玲子は時々帰宅が早いが、今日は帰りが遅くなると言っていたのを、廊下を歩きながら思い出していた。
外はまだ日が高く、暑い。そのため室内は蒸されるようにむっとしていてもおかしくないのだが、ダイニングへ向かうごとに部屋はどんどんクーラーの冷気を帯びていた。
今朝家を出るときに、チェックしてクーラーも消えていたはずなのにおかしい。そう思いながらも廊下を抜け、ダイニングの扉を開けたその時だった。
「あっ、お帰りなさーい!」
「どもー、初めましてー!」
ダイニングの扉を開けた瞬間、中にいる人物達が美月の姿を見つけて、にこやかにそう声をかけるが、美月はこの人物達が誰なのか全く見当がつかなかった。
「……あっ、えっと……?」
(誰? 不法侵入者……? でもさっき、鍵閉まってたよね? 朝も鍵はきちんと締めて行ったよね? って言うか、この人達顔がそっくり……)
いろんなことを一度に考えすぎて固まってしまった美月。そんな美月を見て、顔がそっくりな双子は、同じような顔で同じ表情で美月にこう言った。
「僕はタカでーす」
「うちはコウでーす」
二人とも名前を名乗りながらそれぞれが手を挙げた。まるで選手宣誓をするかのようにピシッと耳に手を当てながら天に向かって手を突き出した。
「うちらは玲子ちゃんの親戚やねん」
「玲子さんの、親戚……?」
美月はなおも固まったまま、小さな口はそんな言葉だけを吐き出した。
「そうそう、今日からちょっと理由があってお家にお邪魔することになってんけど、聞いてない?」
「……あっ、そうだったんですか」
(今朝は何も言ってなかったけど、もしかしたら日中にメッセージを送ってくれてたのかもしれない。玲子さんはいつも忙しくしてるから……)
バタバタとしていた今朝の様子を思い出しながら、美月は壊れたスマホが入ったスクールバックに視線を向けた。