「ご両親の願いがあってその名前を付けはったんですから、私も良い名前やと思いますよ」
「……」
星夜は納得していない様子で、静かに口を閉ざした。周りがいくら言ったところで、本人の気持ちが晴れることはないのだろう。
星夜が口を閉ざした様子に、再び僧侶は笑みを携えながらこう言って歩き出した。
「どうやら邪魔してしもたみたいですね。私は勤めがありますから、先に行かせてもらいますわ」
美月は恐縮してぺこりと頭を下げた。そんな美月に対して、僧侶も頭を下げた。
「じゃあ星夜くん、また。お母さんとおばあさんによろしゅーお伝え下さいね」
「はい」
言葉短く返事を戻し、星夜も頭を小さく下げて会釈を返した。
「家がここの前だと、さすがに知り合いが多いんだね」
「ああ、俺ん家は昔から続いてるから付き合いが長いねん。それにオカンやばーちゃんが人からもらった物のおすそ分けとか、作りすぎたご飯とかを持って行けってうるさいからな。住職も自ずと俺の事覚えるわな」
(あっ、あの方……ここの住職の方だったんだ)
住職が歩いていく後姿を見つめながら、美月はそんなことを思った。
「俺らも行こか」
「うん」
星夜が再び歩き出したその後を、美月は追うようにして歩き始めた。緑に覆われた道が広い参道。石畳の上を歩くと、太陽の光と熱が頭上からと地面の照り返しから浴びせられるように降り注ぎ、美月の体は再び汗ばみ始めた。
制服のシャツの下にはキャミソールを着ている。それが汗によって美月の体にまとわりついて気持ちが悪い。
「大丈夫か?」
「えっ、ああ、うん。大丈夫」
汗を手の甲で拭う姿をちょうど振り返った星夜に見られた。そんな言葉をかけた星夜だが、彼も暑そうだ。
「……」
星夜は納得していない様子で、静かに口を閉ざした。周りがいくら言ったところで、本人の気持ちが晴れることはないのだろう。
星夜が口を閉ざした様子に、再び僧侶は笑みを携えながらこう言って歩き出した。
「どうやら邪魔してしもたみたいですね。私は勤めがありますから、先に行かせてもらいますわ」
美月は恐縮してぺこりと頭を下げた。そんな美月に対して、僧侶も頭を下げた。
「じゃあ星夜くん、また。お母さんとおばあさんによろしゅーお伝え下さいね」
「はい」
言葉短く返事を戻し、星夜も頭を小さく下げて会釈を返した。
「家がここの前だと、さすがに知り合いが多いんだね」
「ああ、俺ん家は昔から続いてるから付き合いが長いねん。それにオカンやばーちゃんが人からもらった物のおすそ分けとか、作りすぎたご飯とかを持って行けってうるさいからな。住職も自ずと俺の事覚えるわな」
(あっ、あの方……ここの住職の方だったんだ)
住職が歩いていく後姿を見つめながら、美月はそんなことを思った。
「俺らも行こか」
「うん」
星夜が再び歩き出したその後を、美月は追うようにして歩き始めた。緑に覆われた道が広い参道。石畳の上を歩くと、太陽の光と熱が頭上からと地面の照り返しから浴びせられるように降り注ぎ、美月の体は再び汗ばみ始めた。
制服のシャツの下にはキャミソールを着ている。それが汗によって美月の体にまとわりついて気持ちが悪い。
「大丈夫か?」
「えっ、ああ、うん。大丈夫」
汗を手の甲で拭う姿をちょうど振り返った星夜に見られた。そんな言葉をかけた星夜だが、彼も暑そうだ。