「アミーナ。あなたも手伝って!」
私は、そう言うと着ていたドレスを脱ぐため
後ろのチャックを開けようとした。
そしてアミーナに手伝わせて身軽な騎士の服に
急いで着替え直した。
「ちょっとユリア様。陛下の言葉聞いてましたか?
ダメですよ。一緒に戦おうだなんて……無謀です」
「このままだと、どちらにしても危険よ!
それに私……守られてばかりって性に合わないのよ」
怖くない訳ではない。生臭い血の臭いもするし
ゾッとするような光景が待ち構えているだろう。
だがあの男ばかり負担をさせる訳にはいかない。
私も……これでもアイツの妻なんだから
木刀を強く握り絞めた。
「アミーナは、ここに居て。いい?
あなたは、絶対に外に出ないで、すぐにドアを閉めて
頼んだわよ?」
「ユリア様!?」
私は、決意をすると勢いよくドアを開けた。
そしてそばで兵と争い合っていた盗賊に木刀をぶつけた。
「えっ……皇后様!?」
「大丈夫?気をつけて。次も来るわよ!」
「は、はい」
私は、すぐに木刀を構える。
剣道と全く状況が違う。剣道は、力を試し合うものだが
この戦は、一歩間違えたら死ぬかもしれない。
だけど……やるしかないでしょ!!今は……。
すると別の盗賊が、こちらに向かって
剣を振りかざし襲ってきた。甘くみないで!!
私は、意識を集中して避ける。そして向きを変えると
頭の面を目掛けて木刀を思いっきりぶつけた。
その後も別の盗賊の横っ腹を目掛けて木刀を振りかざす。
木刀では、人を殺められないけど骨折や
気絶させるには、折れない限りは十分の威力はある。
あの男の手助けぐらいにはなるだろう。
それをやり続けているとあの男が私に気づいた。
「ユリア!?何で貴様が外に出ているんだ?
中に居ろと言ったはずだぞ!?」