あの男が警戒をしながら叱り飛ばしていた。
だが、盗賊達は、クスクスと笑っていた。

「やはり作戦通りだったな。アース帝国に
うろついて問題を起こせばエミリオン帝国が動き出すと。
国から出てしまえば兵も薄くなる。
俺達は、これを狙っていた。悪いが
皇帝陛下……あんたは、ここで死んでもらう。
そうすればエミリオン帝国は、我々のモノだ!」

な、なんて卑怯な!?
どうやらアース帝国にうろついていた怪しい輩は、
この盗賊が犯人だったらしい。
しかもあの男の命を狙うための策略だったなんて……。

どうしようと思っていたらあの男は、
アハハッと嘲笑った。
な、何でこんな時に笑っているのよ!?
私は、唖然としているとあの男は、さらに笑う。

「アハハッ……面白い。俺の命を奪うだと?
それは、この俺アディ・エミリオンに対して
言っているのか?無礼を通りけして笑えるな。
だがそれは、無理な話だな。お前ら
戦いの準備を。絶対に馬車に近づけさせるな!」

「ハッ!!」

部下や兵達は、戦いに備える。
そして盗賊達とあの男達の戦いが始まった。戦だ!
私は、必死にアミーナを抱き締めた。怖い……。

これは、パフォーマンスでも冗談でもない。
本気であの男を殺そうと向かってきている。それは、
すぐに理解した。
兵も盗賊も戦い切り殺されていた。

アミーナは、ガタガタと震えていた。
私も初めて見る光景に頭が真っ白になるが
必死に何か回避出来ないかと考える。

「ユリア。聞こえるか!?
貴様は、絶対に外に出てくるな。貴様は、
俺が死んでも守ってやる!!」

「……陛下……!?」

あの男の言葉にハッとさせられた。
自分が殺されるかもしれないのに、こんな時も
私の身を心配してくれていた。
しかも死んでも守るって……言ってくれた。
でも本当にそれでいいのだろうか?

私は、守られるだけで……。
違う。私は、自分の身は、自分で守ろうと
異世界に来ても腕を磨いてきたじゃない。
それに私は、守られてばかりの性分じゃない。
今まで男勝りな副主将とか言われてきたじゃない!

負けるな……自分。
私は、抱き締めていたアミーナから手を離すと
馬車の中に積んでいた荷物を開ける。

「ユリア様は?何を……」